シリーズ:【元ベンダーが教える】小売システム導入 成功の法則 第一回
~失敗の原因はシステムではない~
~失敗しないベンダー選びから運用まで~
このブログではこれまで、POSシステムやEOS、バーコード、EDI、流通BMSなど、日本の小売システムがどのように進化してきたのかを、元ベンダーの視点から振り返ってきました。
今回からは少しテーマを変えます。
私が20年以上、小売業向けシステムのベンダーとして営業やシステム提案、導入支援に携わる中で見てきた、
「システム導入で成功する会社と失敗する会社の違い」
についてお話ししていきたいと思います。
システム更新や新規導入は、多くの企業にとって数年に一度の大きなプロジェクトです。
数千万円、場合によっては数億円という投資になることもあります。
それにもかかわらず、
「思っていたシステムではなかった。」
「現場が使ってくれない。」
「予定より費用が膨らんだ。」
「結局、以前のやり方に戻ってしまった。」
そんな話を私は何度も見てきました。
では、なぜシステム導入は失敗するのでしょうか。
システムが悪いから失敗するのではない
導入がうまくいかなかったとき、多くの人はこう考えます。
「選んだシステムが悪かった。」
もちろん、本当に製品そのものに問題があるケースもあります。
しかし、私が経験した多くのプロジェクトでは、失敗の原因は別のところにありました。
それは、
「システム導入そのものの進め方」
です。
システムはあくまで道具です。
どんなに優れたシステムでも、導入の進め方を間違えれば期待した成果は得られません。
逆に、完璧ではないシステムでも、関係者が同じ目標を共有し、計画的に進めたプロジェクトは成功することが多かったのです。
「何のために導入するのか」が曖昧
ある企業では、
「そろそろ古くなったから。」
という理由だけでシステム更新が始まりました。
一見、自然な理由に聞こえます。
しかし、プロジェクトが進むにつれ、
「在庫管理も改善したい。」
「発注業務も見直したい。」
「店舗の作業時間も減らしたい。」
と、次々に要望が増えていきました。
最初の目的が曖昧だったため、途中でプロジェクトの方向が何度も変わってしまったのです。
システム導入は、
「何を買うか」ではなく、「何を実現したいか」
から始めるべきだと私は考えています。
ベンダー選びを「価格」で決めてしまう
コンペになると、どうしても価格が気になります。
もちろん予算は重要です。
しかし、
一番安い提案が、一番良い提案とは限りません。
価格だけで選んだ結果、
追加費用が発生したり、
サポートが十分でなかったり、
導入後に困るケースも少なくありません。
反対に、最初は少し高く見えても、
導入後の運用まで考えた提案をしてくれるベンダーもあります。
私は何度も、
「契約した後に、本当の差が見えてくる。」
という場面を見てきました。
現場が置き去りになる
経営層だけで導入を決める。
情報システム部だけで仕様を決める。
このようなプロジェクトは注意が必要です。
実際にシステムを使うのは、
店舗で働く人たちです。
現場の意見を聞かずに進めた結果、
「使いにくい。」
「結局、手書きのメモを使っている。」
そんな状況になってしまうこともあります。
システムは現場の仕事を楽にするためのものです。
現場が納得していないシステムは、長続きしません。
ベンダーに「丸投げ」してしまう
「専門家なんだから全部お任せします。」
これは、一見すると信頼しているように聞こえます。
しかし、実はとても危険です。
ベンダーはシステムの専門家です。
一方、お客様は自社の業務の専門家です。
この二つが協力して初めて、良いシステムができます。
どちらか一方だけでは成功しません。
私は、お客様が積極的に参加してくれたプロジェクトほど、良い結果になったと感じています。
システム導入は「買い物」ではない
システムは家電ではありません。
買ったら終わりではないのです。
導入し、
教育し、
改善し、
運用し、
時には機能を追加しながら、何年も使い続けます。
だからこそ、
システム導入は、
「製品を選ぶこと」ではなく、「長く付き合えるパートナーを選ぶこと」
でもあります。
この考え方を持つだけでも、ベンダー選びの視点は大きく変わるはずです。
元ベンダーとして伝えたいこと
私は20年以上、小売業向けシステムのベンダーとして、多くの導入プロジェクトに携わってきました。
成功したプロジェクトもあれば、残念ながら思うような結果にならなかったプロジェクトもあります。
その違いを振り返ると、
成功した会社には共通点がありました。
逆に、失敗した会社にも共通点がありました。
それは、
会社の規模でも、
予算でも、
導入するシステムの価格でもありません。
「プロジェクトの進め方」と「ベンダーとの関係づくり」
だったのです。
このシリーズでは、その経験をできるだけ具体的にお伝えしていきます。
私が実際に見てきた成功例や失敗例を交えながら、
「もし今の自分なら、あの時こう提案しただろう。」
という視点でもお話ししたいと思います。
まとめ
小売システム導入が失敗する原因は、
システムそのものではなく、
プロジェクトの進め方にあることが少なくありません。
だからこそ、
システムを選ぶ前に知っておいてほしいことがあります。
このシリーズでは、
- なぜRFPが重要なのか
- コンペで本当に見るべきポイントは何か
- 良いベンダーはどう見極めるのか
- カスタマイズは本当に必要なのか
- 導入後に後悔しないためには何をすべきか
など、元ベンダーとして現場で学んだことを一つずつお伝えしていきます。
システム導入は、多くの企業にとって数年、あるいは十数年に一度の大きな決断です。
このシリーズが、その大切なプロジェクトを成功へ導くためのヒントになれば、これほど嬉しいことはありません。
次回は、
というテーマで、プロジェクトの成否を左右する「最初の一歩」についてお話ししたいと思います。



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